印鑑はひとつのケジメ2020年10月09日 13:02

菅政権になって、政府・中央官庁界隈で、ハンコの廃止が盛んに取りざたされている。官庁内だけかと思ったら、甚だしきは、上川法務大臣が婚姻・離婚届にまでハンコは不要だとの方針を出してきた。
単に合理性だけで考えれば、ハンコはひとつの形式であり、100円ショップでも印鑑が購入できるわけで、なんの証明にもならないと言えばそれまでだ。
だが、日本でもチャイナでも古文書には必ず最後に押印があり、責任をもってその文を書いた者の最後の証明の形であり(もしくはその古文書を所有した者の収蔵印でもあり)、書いた者の精神的ケジメでもある。ハンコは東洋だけのひとつの文化と思われがちだが、西洋にも大事な封書の表には蝋でシールをする習慣(封蝋)があり蝋の上には差出人を示すスタンプ(印璽)が押された。これも立派なハンコである。それらを簡単に廃止するということは一つの文化の消滅であり、日本の国柄にも関わる大変なことだ。
何でもかんでも目の前の「効率化」「合理性」「改革」だけ考え、大事なしきたりをどんどん破壊していく人間の傲慢さや無知をつくづく感じる。