理不尽な土下座2022年01月04日 20:25

 実家に戻り久々にテレビで新春番組を見ていて不快なことがあった。毎年新年に放映している『芸能人格付けチェック』という番組がある。ダウンタウンの浜田が司会で一流とそうでないものを芸能人に吟味させ、その違いが分かれば一流芸能人として格付けする企画だ。
 今年の番組を見ていたら、ランクが落ちた芸能人に対して司会の浜田が「土下座したら敗者復活を認める、ランクを一つ上げてやる」と提案しだした。情けないことにそれに郷ひろみ、ヒロミ、藤原紀香、観月ありさが応じて画面の向こうで浜田に向かって土下座した。土下座シーンを見る前に不快になりチャンネルを変えた。
 今どこの企業もコンプライアンスの観点から顧客から土下座を要求されることは不当行為であり、社員として土下座することは許されない。強要する側もするほうもダメだとされている。土下座を要求された段階で断固拒否し、場合によっては警察に通報するのが今の世の常識である。
 別の番組でもある芸人が芸人仲間に番組内で土下座を強要しているシーンがあった。久しくテレビを見ていなかったが、TV業界と芸能界は土下座の強要が如何に世の中の常識とずれているか分かっていない。
 ダウンタウン浜田の土下座強要シーンは近々批判を受けるだろうなと思っていたら、やはりネットでざわついている模様だ。当然である。

 土下座の行為自体は批判しない。ある意味日本の「伝統風習」のひとつであるからだ。時代劇の中で権力有るものが強いたり、本当にお詫びの気持ちを表すために畳の上で詫びを入れたい相手に正座して頭を下げてその気持ちを表現することは否定しない。
 しかし今回のダウンタウン浜田の件は、彼が何の権限もないのに、単なる司会の立場を利用して、対等であるはずの芸能人に対して貶める行為を強要し、それを我々が画面で見せつけられることに不快感がある。要するに理不尽なことを見せつけられているのだ。これを面白おかしいと多くの日本人が思ったとしたら異常だが、幸いに批判が集中していると聞くので、とりあえず常識的な国民がいるということだ。
 私も今から20年以上前に顧客から土下座を強要されたことがある。そのときは客からの土下座を受容せず毅然とした態度でとの社内ガイドラインがまだなく、その顧客が反社会的勢力かもしくは精神異常者のような行動をとっていたので、その場を収めるために土下座をしたが、いまでもその理不尽さに対して自身の行動を悔いる気持ちは当時のまま残っている。
 繰り返すが、膝をついて頭を下げる行為は、やる側が本当にその詫びの気持ちを相手に伝えたいときにだけ成立するものであって、ましてや娯楽番組の中で司会者が権限を振りかざし、出演者に靴を抜いで謝らせるべきものではない。強要されるほうはそんなことをさせられるくらいなら番組を降りるくらいの誇りを持ってほしかった。対中国共産党の日本人と日本政府の対応のようにその場を収めるればやり過ごせると安易に理不尽な行為をすることと同じ姿に感じた。

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