牛スジのお好み焼き2020年01月04日 16:56

味福の牛スジお好み焼き
帰省すると地元の友人と必ず行くお好み焼き屋がある。地元にまだマクドナルドが進出していなかった時代、高校の帰り道友人と寄り道したオアシス的存在で、内装も価格も、店のおばちゃんも40年以上変わらない。3つ年上の女優キムラ緑子も同じ高校出身で、彼女もよくここへ寄り道したと以前TVで紹介されていた。
決まって頼むのが牛スジのお好み焼き。甘辛く煮たトロトロの牛スジはここでしか味わえない。おばちゃんがお好み焼きの材料と混ぜスプーン、コテ、コップ、お冷の入ったヤカンをセットにして持ってきてくれる。靴を脱いでベニヤ板のパティションで区切られた畳の個室に上がる。パティションといっても高さは1メートルちょっとなので立つと隣の個室が丸見えでお互いの声も丸聞こえだ。各個室入口には「つる」「かめ」「さくら」「かえで」「もも」など部屋名の入った紫地の染め暖簾がかかっている。今日は「つる」の間へ上がる。半畳ほどの狭苦しい空間でぺったんこになった煎餅座布団に座り、焼きながら友人と高校生気分に戻っておしゃべりするのがまた楽しい。
ここ1年で変わったのは牛スジのお好み焼き450円が500円になったことと、おばちゃん一人で切り盛りしていたのが、女性がお手伝いで加わったことだ。
50年近くひとつの事を長く続けるというのは並大抵のことではない。このお好み焼き屋は青春時代の気分に戻り、若かった自分とつながる場所でもある。これからも長く続いてほしい。