よみがえった新約聖書と讃美歌2021年03月01日 00:05

左が劣化し剥がした革表紙 右が修理後の状況 
古書店でも普段あまり買わないジャンルなのだがポケットサイズの聖書と聖歌集の古本が目に止まった。大学時代聖歌隊に所属していたので、久々にそれらを手に取った。奥付を見ると昭和初期発行なのに、本の天地と小口(側面)に施されている「三方金」と呼ばれる金箔細工は全く100年近く経った今も色あせていない。ただ、表紙の革の劣化が激しく、触るとぽろぽろ取れてくる。聖歌集だけ買って帰ろうかと思ったら、同じ大きさでほぼ同じ劣化で横に並んでいた聖書も目に止まった。恐らくもともと同一人物がこの2冊を一緒に所蔵していただろうと思うと、この聖書と聖歌集を引き離すことができず、2冊共購入した。各300円の計600円也。

【新約聖書詩編付】
・昭和4年 米國聖書協会発行
・東京市王子 星共印刷社
・総革 
・劣化した革をすべて剥ぎ、三方金をそのまま保つためかがり直しはせず、ボンドで背固めをしなおしただけ。新しく黒い見返しを付け、山羊革の総革のソフトカバーで仕立て直す。表紙タイトルはもともとの金文字の部分の革を切り取り上から貼り直した。

【讃美歌】
・昭和6年 讃美歌委員会発行
・東京市王子 星共印刷社の折坂友之印刷者 発売所:教文館
・総革 垂革(たれかわ) 天地と小口まで表紙の革が垂れて覆う装丁
・垂革の部分を中心に革が劣化し、垂れの部分もところどころ欠損していた。同じく三方金を保つため、綴じ直しはせず背中を固めて丸みをつけ、山羊革の総革でソフトカバーの垂革に仕立て直す。タイトルは劣化した革から切り取り貼り付ける予定でいるが、他に方法はないか思案中。

因みに今でも星共社という印刷所があり聖書を中心とした三方金の技術を守っており、国内シェアもほぼ100%の会社がある。会社沿革をみると、この昭和初期の星共印刷所とは直接的関連を見つけられなかった。
http://www.seikyosha.co.jp/company.html

昨年夏私が応募した製本コンクールで、こちらの会社から星共賞をいただいた。製本工房の親方からまる2日かけて教えてもらった三方金をコンクール作品に施したのを目に停めてくれたとのことだった。
https://onokorojima.asablo.jp/blog/2020/06/22/9260228

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