レザークラフトと手製本のコラボ2021年06月08日 00:06

古書店で300円で購入した革片袖装の分厚い本を修理した。背表紙に使われている革は100年経って弾力性がなくなりポロポロと崩れてくる。ただ、金文字のタイトルと著者名はきれいに残っているので、この革を再利用して修復したいと思った。
背中から丁寧に外した革の端をカッターで形を整えながら最後に新しい革に金文字タイトル入りの古い革を上からボンドで貼りあわせた。布巾で上から静かに丁寧に抑えるが古い革の端っこが次々と取れてくる。製本工房の親方に相談したが、「革そのものが劣化したのだからこれ以上何もできない、古いものを使うのだからやむを得ない」との結論だった。
帰り道で、なにか方策はないか思いあぐねていてひらめいた。革の勉強のために通うレザークラフト教室で使っているCMCという薬剤で古い革を補強できないかと思った。CMCとは、カルボキシメチルセルローズ(粘度調整剤)のことで、スープなど食用のほか、革の裏側のケバを馴染ませたり抑えたりする中性の材料だ。早速レザークラフトの先生に、手製本の革表紙にCMCを上から塗ってこれ以上のポロポロを食い止められないか尋ねたら革の先生はその方針を是としてくれた。CMCを2度塗り乾いたのち最後に革用オイルを塗った。粘度調整剤とオイルが古い革表紙にしみこんで、ゴキブリの羽のように黒光りし、少し元気を取り戻したように感じる。レザークラフトを習っていないとコラボできない知識だと感謝した。

『益軒十訓』 明治十六年三月 博文館発行
丸背上製革片袖装
本かがりはそのまま活かし
表紙のみ装丁しなおし

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