私の親方~製本職人~ ― 2020年04月18日 17:25
私が通う製本教室の先生は「親方」である。そのみち40年の手製本工房の職人で、文京区の技能名匠にも認定されている。職人が素人に教えるのだから、決して親切ではない。生徒に対しても好き嫌いがはっきりしており、相性のいい生徒には親切に説明するが、相性の悪い生徒には口数も少なく、こちらからアプローチして聞かないと教えてくれない。残念ながら私は嫌われている部類に入る。同じことを別の人には丁寧にデモンストレーションをして説明しているのに、私に対しては一言二言で、要するに「やってみろ」という態度でさっさと別の生徒のところへ行ってしまう。ほったらかしにされるので自分で色々考えてやってみる癖はついたが、自分なりに考えた挙句それが裏目に出て、やり方が違うと更に叱られたりする。手取り足取りではなく、「自分で考えろ、師匠の背中を見て覚えろ」的なのである。それでも通い続けているのは、さすが職人だけあって、製本工程に無駄がなく、職人目線での作業のコツなど学ぶべき点が多いからだ。
私も、会社人生が30年も過ぎると周りがみんな年下になってきて、上司すら後輩だったりする。立場上周りを指導、諫言することはあっても、人から叱られたりたしなめられたりするのは少なくなった。ところが、この製本工房に行くと、一気に自分が新入社員のような立場と気持に戻るのだ。やること成すこと親方から否定され、質問すれば「そんなことも知らないのか」的な呆れた顔をされて直される。自分が四苦八苦したものを見せたとき、否定されず稀に「いいんじゃないの」と言われると褒められた気分になる。当初は気持ちもくじけていたが、だんだんこの境遇も貴重な体験だと楽しめるようになってきた。
そんな中、普段なら狭い教室には私を含め5~6人の生徒がいてそれぞれが作業をし、先生から都度指導を受けるのだが、ここ3回は武漢肺炎の影響で皆さん自粛して、参加する生徒は私ひとりなのだ。
親方にとっては、相性の悪い私とマンツーマンだから相当苦痛だろうが、私にとってはまたとないチャンスである。生徒は私一人なので親方はいつものように私を無視したり放ったらかしにはできない。私がする質問には答えなければならないし、私の製本過程には首を突っ込まざるを得ない。愛想のない親方を独り占めできるのだから私にとってこんな貴重な機会はない。不要不急ではなく、絶対逃してはならない「大事で急ぎの」外出である。来週末も私一人のようである。
本日工房で修理した本
著書名:THE ROMANCE OF MODERN PHOTOGRAPHY
著者名:CHARLES R GIBSON
発行所:LONDON SEELEY AND CO. LIMITED
発行年:1908年
購入価格:500円(表紙の箔がきれいだったので中身を見ずに購入)
修理内容:背表紙が劣化し本文から外れている。丸背ドイツ装にして同色の布クロスで作った背表紙に表裏の表紙を結合したところ。最後に外れていたオリジナルの背表紙を布クロス上に貼ったら完成。
私も、会社人生が30年も過ぎると周りがみんな年下になってきて、上司すら後輩だったりする。立場上周りを指導、諫言することはあっても、人から叱られたりたしなめられたりするのは少なくなった。ところが、この製本工房に行くと、一気に自分が新入社員のような立場と気持に戻るのだ。やること成すこと親方から否定され、質問すれば「そんなことも知らないのか」的な呆れた顔をされて直される。自分が四苦八苦したものを見せたとき、否定されず稀に「いいんじゃないの」と言われると褒められた気分になる。当初は気持ちもくじけていたが、だんだんこの境遇も貴重な体験だと楽しめるようになってきた。
そんな中、普段なら狭い教室には私を含め5~6人の生徒がいてそれぞれが作業をし、先生から都度指導を受けるのだが、ここ3回は武漢肺炎の影響で皆さん自粛して、参加する生徒は私ひとりなのだ。
親方にとっては、相性の悪い私とマンツーマンだから相当苦痛だろうが、私にとってはまたとないチャンスである。生徒は私一人なので親方はいつものように私を無視したり放ったらかしにはできない。私がする質問には答えなければならないし、私の製本過程には首を突っ込まざるを得ない。愛想のない親方を独り占めできるのだから私にとってこんな貴重な機会はない。不要不急ではなく、絶対逃してはならない「大事で急ぎの」外出である。来週末も私一人のようである。
本日工房で修理した本
著書名:THE ROMANCE OF MODERN PHOTOGRAPHY
著者名:CHARLES R GIBSON
発行所:LONDON SEELEY AND CO. LIMITED
発行年:1908年
購入価格:500円(表紙の箔がきれいだったので中身を見ずに購入)
修理内容:背表紙が劣化し本文から外れている。丸背ドイツ装にして同色の布クロスで作った背表紙に表裏の表紙を結合したところ。最後に外れていたオリジナルの背表紙を布クロス上に貼ったら完成。
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