世の中、ほんとうに住みにくい~言葉狩り~2020年11月15日 13:00

会社で、私が「セールスマン」という言葉を使っていたら、職場の男性から、「今はLGBTに配慮する時代ですから、セールスパーソンと言うべきです。セールスマンと言う言葉に違和感があります」と言われた。国際会議でもチェアマンをわざわざチェアパーソンと言ったりするが、私に言わせればこんな気遣いは要らない。セールスマンのマンは「人」のことであって「男性」だと思うから窮屈なんだ。では、サラリーマンをサラリーパーソンと言うのか?

奇しくもトランスジェンダーで女装をしているかたのインタビューを聞いた。「世間では、ジェンダーフリー、男性も女性も同じなんだ、と盛んに言われていますが、とんでもない。自分は男性に生まれたが、女性らしく生きたいとおもって今このようにしています。男性らしさ、女性らしさは大事なことであって、ジェンダーフリーなんて大きなお世話です。」と言っていた。

「障がい者」という言葉もそうだ。もともとは「障害者」もしくは「障碍者」であった。ところがある時、障害者の害は「害を与える」の害、これを障害者に対して使うのは差別である、と一部人権派が言い始めた。それに追随してマスコミ、公共交通機関で「障がい者」と表示している。
しかしそもそも障害者の害は、害を与えるのではなく、障害という状態を持った人のことで、障害でひとつの単語で、害を与えているとは言っていない。NHKの障害者番組にもよくゲストで出演し、政府の障害者会議にもコアメンバーになっている聴覚障害の女性と以前話す機会があった。「障がい者」という表記について率直に考えを聞いたら、彼女も否定的だった。「障害者」とすれば普通にスルーするのにわざわざひらがなで「障がい者」とすることで「がい」を却って際立たせている。私の意見と全く同じだった。

世の中言葉狩りが段々ひどくなり、国語の語彙もどんどん狭められてきている。「ちび」「でぶ」「めくら」「つんぼ」「おし」「びっこ」という言葉も昔から相手に直接言ったら失礼な言葉ではあるが、言語表現の語彙のひとつとしては認めるべきである。座頭市は悪人をバッタバッタと切り倒す「めくら」のヒーローであり、芸術作品の中でも「目の不自由な座頭市は・・・・」とするよりも「めくらの座頭市は・・・・」とするほうがよっぽど味わいがある。語彙は国語(日本語)の豊かさであり、日本人の財産でもある。

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