相手が腹黒いことを知る2020年08月26日 21:03

前回のブログで、神父様から「人は謙虚でなければならない」と教わり行動規範のひとつにしていると述べた。世の中全員が謙虚な人であれば、こちらも心穏やかなのだが、世界は総じて腹黒い人のほうが多い。それを知ったのが中国で生活しているとき「騙す奴より騙されるほうが悪い、要するに馬鹿なのだ」と中国人からはっきり言われたことがきっかけだった。
それからは、相手が謙虚な人ならこちらも心許して謙虚にお付き合いするが、相手が狡猾で嘘つきであれば、こちらも性悪説からスタートする。さもなくば、常にこちらに火の粉が飛んで騙され続けることになる。ただ相手が嘘をつくからといって、こちらまで嘘をつけば、これは自分の生き方に反するのでそれはしない。が、相手が嘘をつく輩だと知ったうえで、騙されないように考えながら対処してつきあうことは重要である。
中国では、黙っていたらいつまでたってもこちらの意志が通らないし、騙されることもあるので、常に自己主張し、相手の考えが間違っているかをはっきり伝え続ける。「わかってるんだよ、お前のつく嘘はすぐに私にはお見通しだから警戒しろよ」と言った信号を相手に送りつづける。議論もアメリカ式ディベートと一緒で、中身はどうでもいい、最後に相手を黙らせ、言い負かしたほうが勝ちで、それがイコール正義になる。従って、中国で生活すると、日本の2~3倍エネルギーが要る。計8年滞在したうち、最後の3年間現地で胃潰瘍になり、顔面神経痛の症状も出てきた。現地法人では40人近くのチャイニーズスタッフを切り盛りしていたが、基本性悪説で私なりに考えた流儀で接してきた。最後日本に帰国するときにチャイニーズの最古参スタッフが、「あなたは歴代のマネジャーと違って凄かった」と私のマネジメントをほめてくれたのが今でも私の誇りだ。日本に帰国し、偶然初めて韓非子を読んだところ、自分が中国で実践していた性悪説のマネジメントに合致したことがいくつか書いてあり、私がした操縦法に間違いはなかったことを再認識した。
日本の外交もそうだ。相手の機嫌を伺って仲良くすることが外交ではない。相手を知り、自国の権益をいかに主張し相手から条件を引き出すか、武器のない戦争である。相手国から「日本というのは交渉するには嫌な奴だな」と思わせれば、外交としては成功である。日本政府や外務省が外交下手で相手の言いなり、「日本はちょろい」と言われるのは、最初から妥協することや折り合いをつけることばかり考え、相手を打ち負かすという意識が希薄でそのためのエネルギーやひと手間を費やさないからだと思う。

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