100年前からの小さな贈り物2020年03月24日 11:07

古本から出てきた100年前の切手
古本市で本を購入した。1921年イギリスで出版された洋書で手の中にちょうど納まるポケット版サイズ、価格はほんの200円だった。程よく表紙と中身が外れかけていて、本の修復にちょうどいい練習台になる。

書名:"Standard Catalogue of Postage Stamps 1921"
発行:Whitfield King & Co.,
発行年:1921年

本の内容は1921年(大正10年)当時全世界で発行されている切手を国ごとにイラスト入りで掲載している。自宅に持ち帰り、1ページ1ページめくっていくとフィンランドのページから本物の切手が5枚挟まれているのを見つけた。5枚のうち4枚はスラブ風とアラブ風の文字でどこの国の切手か直ぐには判別がつかないが、残り1枚はSUOMIと書いてあり1911年フィンランド発行の切手のようだ。思いがけず100年前の本の持ち主から「贈り物」をいただき、ほっこりした気分になった。

私にとってこの本が練習台であること以外に興味深かったのは、1921年当時世界にどのような国があったか、当時の国家の縮図が各国の切手の説明を通じて、垣間見ることができるからだ。

例えば、アルファベット順で
CHINAのページを引くと
大清国郵政局とREPUBLIC OF CHINA(中華民国)とある切手が混在し混乱期であることが分かる。中華民国の切手には1912年発行の袁世凱像の切手もあると記載がある。
CHINESE TURKESTAN(シナのトルキスタン)のページもある。清の乾隆帝が東トルキスタンを征服したことが反映されているようで、新疆内でのみ利用の切手とのことだ。
CHUNKING(CHINA)というページ、これは重慶の事で、1891年に重慶が対外開放され列強国が租界を設け駐留している。ここではフランス領インドシナの切手が利用されていたとある。

HAWAIIのページを開くと
「以前は王国、のちに共和国、現在はアメリカ合衆国に併合」とある。
1898年にハワイはアメリカに乗っ取られているので、併合前までの各種切手が掲載されている。

JAPANのページを開くと、
本土のJAPAN以外に、
JAPANESE CHINA(Japanese Post Office in China)
JAPANESE KOREA
のページがそれぞれあり、どの切手を使用しているか書いてある。

JAPANESE CHINAは当時列強国が租界地で清国に駐留している時代に日本が清国内でどの切手を使っているかの説明と思われる。
なぜなら、同様にFRENCH CHINA、GREMAN CHINA、RUSSIAN CHINA等列強国のページもある。英国についてはCHINESE EXPEDITIONARY FORCE(英国派遣軍)のページがある。
JAPANESE KOREAについはこの頃は日本統治時代なので、純粋に「日本の朝鮮」ということであろう。

TIBETのページを開くと
国名に如何なる付記は記載されておらず、完全に独立した国家として
認識されている。

色々見ているとついつい時間を忘れてしまうので、まずは
装丁をしっかり修復してから、もう一度じっくり中身を見ることにしよう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://onokorojima.asablo.jp/blog/2020/03/23/9227585/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。